炎症性腸疾患(IBD)について
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)とは
【監修】 東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部 副部長 斎藤恵子先生
潰瘍性大腸炎とクローン病は若年者に多く発症し、寛解(かんかい)と再燃を繰り返し、慢性に経過する難治性の炎症性腸疾患です。彼らが発症する年代は、身体を作るうえで大事な時期であるとともに、就学、受験、就職、結婚、出産など人生において大切なイベントがたくさんある時期なので、症状に応じた生活や食事への配慮が重要です。
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)の代表的な疾患
厚生労働省の特定疾患(難病)指定
潰瘍性大腸炎
(Ulcerative Colitis:UC)
大腸のみに発症する潰瘍性大腸炎は、食事が原因で再燃することは少ないといわれています。
あまり神経質にならず、バランスのよい食事を心がけましょう。
寛解期
- 1.厳しい食事制限をすることはないが、暴飲暴食や脂っこい食事は控える
- 2.刺激がある香辛料や、極端に熱いもの、冷たいものは控えめにする
- 3.下痢や腹痛、腹部膨満などが生じた経験がある食品は控える
- 4.腸内環境を整えるために、プロバイオティクスとプレバイオティクスを積極的に摂る
再燃期
- 1.寛解期の食事療法に加えて、低脂肪の食事を心がける(クローン病の食事療法に準ずる)
- 2.水分を少量ずつこまめに補給する(発熱時や排便回数が多いときは塩分やカリウムも補う)
クローン病
(Crohn's Disease:CD)
口唇から肛門までの消化管(特に小腸や大腸)に発症しうるクローン病は、食事が再燃や寛解(かんかい)に関与するので、栄養療法(成分栄養、消化態栄養、半消化態栄養などを用いる療法)を行い、食事の基本を守ってください。
寛解期
- 1.栄養療法を続ける
※ 成分栄養剤を1日に900~1,200kcal摂ると再燃を抑えられるとの報告がある - 2.脂質は1日30g以下にする
- 3.腸管に狭窄(きょうさく)がなければ、食物繊維の厳しい制限は不要
- 4.下痢や腹痛、腹部膨満などが生じた経験がある食品は控える
- 5.腸内環境を整えるために、プロバイオティクスを摂る
- 1.栄養療法を続ける
再燃期
- 1.食事量を減らし、その分、栄養剤を増やす
- 2.2~3日、場合によっては1~2週間、栄養剤だけにして絶食するのも効果的
- 3.水分を少量ずつこまめに補給する(発熱時や排便回数が多いときは塩分やカリウムも補う)
狭窄がある場合
- 1.非水溶性食物繊維の多い食品や消化の悪いたんぱく質の摂取は控える
- 2.1度に食べる量を控える
- 3.栄養剤を増やす
用語解説
- 寛解(かんかい)… 病状が落ち着くこと
- 再燃… 病状が再び悪化すること
- 狭窄(きょうさく)… 腸管の内腔が狭くなっていること
- プロバイオティクス… 腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう:腸内に生息する細菌の集団)に変化を及ぼし、生体に有益な作用をする生菌のこと(乳酸菌、ビフィズス菌など)
- プレバイオティクス… 非消化性の食品で、特定の腸内細菌を活性化させたり成長を刺激し、生体に有益な作用を示すもの(食物繊維、オリゴ糖など)
食事療法の基本
【監修】 東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部 副部長 斎藤恵子先生
寛解期においては消化が良く、腸に負担をかけない食品を摂ることが大切です。主食を中心に、主菜(たんぱく質)、副菜(野菜、芋など)をバランスよく摂りましょう。脂質や刺激物は控えめにしましょう。
食材選びのポイント
主食
主食(炭水化物)は、安全かつ、効率のよいエネルギー源。ごはんを中心に、十分なエネルギーを摂取する。
おかゆ、ごはん、うどん
もち、食パン、サツマイモ
ジャガイモ、シリアルラーメン
おかず
たんぱく質
病態を悪化させうる食品もあるので、注意が必要。たんぱく質の摂り過ぎは、脂肪の摂り過ぎになるので、摂取量にも注意。
豆腐、白身魚
卵、鶏ささみ、青魚
牛・豚肉、貝類
脂質
脂肪は病態を悪化させるので、調理に使う油脂(特に動物性油脂)は極力控えめに。多脂性食品にも注意!
サラダ油、オリーブ油
チーズ、マヨネーズ、バター・マーガリン、ベーコン・ソーセージ、霜降り肉
残渣(食物繊維)
狭窄(きょうさく)がある場合は腸閉塞の原因となるので注意。狭窄がない場合は、柔らかく調理するなどの工夫をして摂取する。
昆布・ひじき、とうもろこし、きのこ、こんにゃく、豆、ごぼう
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書籍のご紹介
クローン病 患者が本当にききたいこと
―140のQ&A付・診療医リスト、安心レシピ
レシピ:斎藤 恵子 出版社:弘文堂 ISBN:978-4335760136
病気と付き合っていく患者さんが本当に知りたいこと…治療、手術、人工肛門、食事、学校や仕事のこと、医療費、保険…など全140問に最前線で治療に関わる医師がやさしく答えます。
付録として、全国にいるクローン病の診療医リストを掲載。どこの病院にかかったらいいか分からないという患者さんの道しるべになります。
また『安心レシピでいただきます!』の著者・斎藤恵子先生によるレシピ付きで食生活もサポート。コラムに患者さんのメッセージを載せ、メンタル面でもサポートします。これ1冊で、患者さんの生活すべてをバックアップします。
潰瘍性大腸炎 患者が本当にききたいこと
―129のQ&A付・診療医リスト、安心レシピ
長い期間病気と付き合っていく患者さんが本当にききたいこと…治療、手術、人工肛門、食事、学校や仕事のこと、医療費…など全129問に最前線で治療に関わる医師がやさしく答えます。
付録として、全国にいる潰瘍性大腸炎の診療医リストを掲載。どこの病院にかかったらいいか分からないという患者さんの道しるべになります。
また『安心レシピでいただきます!』の著者・斎藤恵子先生によるレシピ付きで食生活もサポート。コラムに患者さんのメッセージを載せ、メンタル面でもサポートします。これ1冊で、患者さんの生活すべてをバックアップします。
健康21シリーズ14
潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
安心レシピでいただきます!
おべんとう・パーティ篇
今回は読者からの要望が多かったお弁当レシピが増え、お弁当に使えるおかずには“お弁当マーク”をつけました。また、ご家族やお友達とともに楽しめるパーティ、イベント用のメニューを充実させました。食事療法を<制限>と見る発想から<注意しながら適量を摂る>ととらえる新しい発想にもとづいた、患者さんとともに作るおいしいレシピ集です。
安心レシピでいただきます!
他社商品のご紹介
東京医科⻭科⼤学医学部附属病院
臨床栄養部 副部⻑斎藤恵子先生 ご推薦
まんぞく君とは
脂肪と繊維を控えたIBD(クローン病・潰瘍性⼤腸炎)の方も安心して食べられる、IBD患者会の皆様と一緒に作った商品(一般食品)です。
商品の特徴
- 脂肪と不溶性食物繊維を控えています。
- レトルトパウチ食品なので、保管・持ち運びが便利です。
- 調理済みの為、そのまま温めてすぐに食べられます。
- 消化されやすく、蓄積脂肪になりにくいMCTオイルを使用しています。
※ この食品は治療食ではありません。食べすぎにはご注意ください。
※ 疾患をお持ちの方は、かならず医師又は栄養士とご相談の上お召し上がりください。
商品内容
⼤豆たんぱくやMCTオイルを使用したハヤシや、ノンオイル・無かんすいのインスタントラーメン等をご用意しています。
単品の他に便利なセット販売もしております。
お召し上がり方
レトルトパウチ商品は袋が完全に入る⼤きさの鍋を使用し、袋のまま熱湯で約3分温めていただくか、中身を鍋に移して焦げ付かないように温めてください。
※袋を直接火にかけたり鍋からはみ出したりすると、燃えて火事になる危険性があります。
電子レンジをご使用になる場合は、かならず中身を電子レンジ用容器に移し、ラップをして温めてください。
まんぞく君WEBSHOPでは、
商品を使用したアレンジレシピも掲載しています!
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