摂食嚥下障害について

一人ひとりに適した食事を

高齢者はさまざまな原因により食べることが困難になります。




これまでの食生活を尊重した気配りを

高齢者は長年にわたり親しんできた味や食習慣があります。その嗜好を尊重しつつ、個人の状態に合わせた食べやすい調理が必要です。さらには、温かいコミュニケーションや食べる環境への気配りも重要になります。

※直近で3 ㎏以上の体重減少があるときは注意が必要です。

参考:『認知症と食べる障害』 Jacqueline Kindell著 金子芳洋訳(医歯薬出版株式会社)


飲み込みのしくみ ~嚥下障害と誤嚥~

嚥下とは?

食べ物を飲み込んで胃に送り込むことをいいます。

飲み込む仕組み

  • 食べ物を見て認識すると、唾液や胃液が分泌され、食べるための体の準備が始まる。

  • 口に入った食べ物は、噛んで唾液と混ぜ合わされ、飲み込みやすい形にまとめられる。

  • まとめられた食べ物のかたまりが、喉の奥まで送られる。

  • 脳に信号が送られ、反射的に食べ物のかたまりがゴックンと飲み込まれる。このとき食べ物の逆流や気管への入り込みを防ぐ仕組みが働き、食道を通って胃へ送られる。




誤嚥とは?

食べた物が気管に入ってしまうことを「誤嚥」といい、窒息や肺炎を招くこともあります。
次の状態のときは気をつけましょう。



『誤嚥性肺炎』予防のポイント

(1)飲食物の誤嚥を防ぐ
とろみ調整食品やわらか食品などの利用

(2)口腔内を清潔にしておく
口腔ケアグッズの利用

(3)胃から食道への逆流を防ぐため、食後2時間ほどは
起き上がった姿勢で過ごす

(4)肺炎にかかりにくい、かかっても治りやすい体力を
つけておく





参考:『飲み込みにくい方へ』 向井美恵監修(ヘルシーフード)
『改訂版 図解かみにくい、飲み込みにくい人の食事』 藤谷順子・江頭文江監修(主婦と生活社)





飲み込みやすくするためのポイント

次のような食感の食べ物は、むせたり、喉につまったりする可能性があります。
飲み込みやすくなるように工夫をしましょう!


具体例

※粘り気の強い“もち”や、噛み切りにくい“いか”“たこ”などにも注意が必要です。




  • 1.適度な水分を含ませる


    ぱさつきを防ぐために、適度な水分が必要。
  • 2.ツルンとさせる


    ゼラチンなどで固めると、口の中でばらけることなく、のどごしがよい。
  • 2.油脂やつなぎでまとめる


    マヨネーズなどの油性のソースで食材をまとめる。卵や小麦粉などのつなぎを、加熱前のひき肉に混ぜてまとまりをよくする。
  • 4.とろみをつけてばらけるのを防ぐ


    食材にあん風のとろみをつけて、口の中でばらけるのを防ぐ。のどごしもよくなる。
  • 5.調理方法を工夫する


    「つぶす」「する」など素材の形状を変えたり、「煮込む」「蒸す」などやわらかく調理すると飲み込みやすくなる。
  • 6.サラサラした液体にはとろみをつける


    お茶などの液体にはとろみをつけて、むせを防ぐ。とろみ調整食品が手軽でたいへん便利です。



参考:『改訂版 図解かみにくい、飲み込みにくい人の食事』 藤谷順子・江頭文江監修(主婦と生活社)
『「食べる」介護がまるごとわかる本』 菊池武著(メディカ出版)





自分に合った食品を選ぼう!


能力に応じた食べ物を

噛む力、飲み込む力が低下しても、やわらかさや食べ物の形態を工夫すれば、食事を楽しむことができます。一人ひとりの能力に応じて、食べやすいものを選びましょう。



食品選びの参考に・・・

自分の状態に適した食品は、日本介護食品協議会が制定する食品の「かたさ」や「粘度」に応じた4つの区分を参考にすると選びやすいです。

ユニバーサルデザインフード区分表


ヘルシーネットワークの通販サイトでは、各区分ややわらかさの段階に応じた商品を掲載しています!そちらも参考にしてください。


おかゆ作りの工夫

「おかゆ」の基本の作り方と、電子レンジ調理でできる簡単な作り方をご紹介します。


おかゆ(全粥) 基本の作り方

≪材料≫

ごはん 100g
水   200ml

≪作り方≫

(1)鍋にごはんと水を入れて火にかけ、ふつふつしてきたら弱火で約5分煮る。
(2)火を止め、蓋をして、約10 分間蒸らす。
  ※冷えたごはんは温めてから使うと調理し易くなります。
おかゆの硬さは水の分量や火加減、炊く時間によって変わります。
水加減はお好みの硬さになるよう調整してください。
おかゆはまとめて作って冷凍し、必要な分だけ解凍すると便利ですよ!

おかゆの水加減〈目安〉(ごはんと水の割合)


電子レンジで少量調理

≪材料≫

ごはん 50g
水  100ml

≪作り方≫

(1)大きめの耐熱容器にごはんと水を入れ、端を少し開けてラップをする。
(2)レンジ(500W)で約5分間加熱する。
(3)取り出して、ラップのまま約10分間蒸らす。
  ※加熱時間は電子レンジの機種により異なります。状態を確認しながらご調整ください。

【ミキサー粥】米粒が気になる方に!

おかゆをミキサーにかけると、米粒の無いなめらかな「ミキサー粥」が作れます。
七分粥程度の硬さのおかゆを使うと、程よい粘りになりますよ。
とろみをつける際は、 とろみ調整食品や固形化補助食品、水溶き片栗粉などでご調整ください。

商品を活用してもっと気軽に!

ミキサー粥の「べたついて飲み込みづらい」「まとまりがなく食べづらい」「後片付けが大変」などのお悩みに応える商品をご紹介します!

快食応援団 なめらかおかゆ
温めるだけで食べられる、ペースト状のなめらかおかゆ。粘つきを抑えた、飲み込みやすい食感。

☆その他のやわらかい食品

ホット&ソフトプラス
全粥と一緒にミキサーにかけると、ゼリー状になる固形化補助食品。
ミキサーや器にこびりつかず後片付けが簡単。

☆その他の固形化補助食品


やわらか食調理の基礎知識

食事をより美味しくする雰囲気作りのポイントや、食材を食べやすくする工夫について、また、各食材の具体的な切り方や調理方法など、やわらか食を調理する際の基礎知識についてご紹介します。


1. 食事をより美味しくするポイント


旬の食材を取り入れる

旬の食材の味・香りは季節感を演出し、食事にメリハリを与える。


だしは一からとる

かつお節や昆布からとるだしは、天然の旨味が凝縮されていて、とても美味しい!だしの風味は、減塩にも繋がる。

食材の持ち味を生かす

食材の持つ酸味・辛味・香味は料理のアクセントとなり、食欲を刺激。味にメリハリを出せるため減塩にも繋がる。
酸味:柑橘類
辛味:大根、生姜
香味:しそ、みょうが、にんにく 等

食べなれたものや好物を取り入れる

懐かしい味や好物は、食べる意欲や楽しみへと繋がる。

楽しい食事の雰囲気作り

食器の種類
見た目からも食欲がわくよう、食器の大きさや深さ、色合い、形等にも配慮を。
盛付(食材の大きさ・形、彩り)
食事中に潰しながら食べられる料理は形を残したまま盛付けることで、どんな料理かが分かり、食事を楽しむことができる。彩りにも気を配り、見た目の美味しさをアップ !
その他(明るさ、装飾等)
日中は自然光を取り入れて食卓を明るくする。華やかなランチョンマットの使用、季節の花(微香のもの)を飾る、等も気持ちが明るくなるポイント。


2. 食べやすくする工夫


切り方を工夫



隠し包丁/蛇腹切り:
たくあんやリんご等、硬いものの最初のひと噛み、ふた噛みを助けてくれる。
繊維を断つ:
野菜等、繊維がどのように走っているのかを考え、その繊維を斷つように切る。


大きさを工夫

細かくなっているよりも、ある程度の厚みや大きさ(表面積)がある方が噛みやすい。
※但し、やわらかく調理してあることを前提とする。

かたさを工夫

加熱調理:「煮る」「蒸す」等の加熱調理で時間をかけてやわらかく仕上げる。
※揚げ物の場合、とろみのあるあんやソースをかける、または煮ることでやわらかくなる。

3. 各食材の具体的な方法




麺類


すすらないよう、3〜5cmの長さに切る。つゆにとろみをつけると誤嚥防止に。


魚介類

加熱によって身がしまり、食べにくくなるものがあるため、調理方法を工夫する。

焼き魚

焼き過ぎはもちろん、調味によっても身がしまってかたくなる。焼く直前に塩をふる、調味液には漬けず、焼きながら塗る等、調味方法にもひと工夫を。
アルミホイルの包み焼きにすると蒸されてしっとりやわらかに仕上がる。
とろみのついたあんをかけると、より食べやすくなる。

煮 魚

多めの煮汁で調理し、盛付も煮汁を多めにすると身をしっとりとさせる。



刺 身

噛み切りにくい食材には切り目を入れる。
イ カ:横に走る繊維に沿って皮側に切り目を入れ、90度回して細切りにする。
タ コ:削ぎ切りにしてから、縁に切り込みを入れる。
白身魚:薄い斜め削ぎ切りにする。





肉 類



厚みのある肉


筋を切る
赤身と脂身の間の筋を断ち切るよう、あらかじめ包丁で数箇所切り目を入れ、かたくなるのを防ぐ。鶏肉の場合は筋を取り除く。 皮も除くとより噛みやすくなる。
切り目を入れる
筋を切った肉の表面に切り目を入れることでさらに噛み切りやすくなる。


たたく
包丁の背や、肉たたき器でたたき、やわらかくする。
薄切りにする
焼き上がりに繊維を断ち切るよう3~5mm厚の斜め切りにする。


薄切り肉

巻いたりヒダを作ってから調理すると厚みが出て噛み切りやすくなる。

ひき肉

すり鉢等で二度挽きするとバラつきを防ぎ、食べやすくなる。




野菜


カットサイズは5~8mm角、5~8mm厚を基本とする。


葉もの


茎・葉脈は刃先でつつくようにして、切り込みを入れる。 葉は端から巻いて厚みをもたせる(かたいものはやわらかく茄でてから巻く)。
切る場合、縦に走る繊維を 断ち切るように切る。


根 菜

隠し包丁を入れる。

皮がかたいもの・噛み切りにくいもの

厚めに皮をむく、湯むきをする。

繊維の多いもの

繊維を断ち切るように切る。

参考:絵で見てわかるかみやすい飲み込みやすい食事のくふう(女子栄養大学出版部)




とろみ調整食品


とろみ調整食品の必要性


なぜとろみをつけるの?

飲み込む機能が低下した方はお茶やみそ汁のような液体を上手に飲めなくなります。液体はのどを流れるスピードが速く、誤って気道に入り込みやすくなり、その結果むせてしまいます。液体にとろみをつけることで口の中でまとまりやすくなり、のどを流れるスピードがゆるやかになるため、「むせ」を防ぐことができます。


とろみ調整食品の使い方


  • 飲み物や液状の食品に、とろみ調整食品を入れ、すぐにかき混ぜる。

  • 溶かしてから約2〜3分、とろみの状態が安定するまで待つ。

  • とろみの状態や温度を確認する。

※食品の種類や温度によってとろみの程度に差が生じる場合があります。

【動画】基本の使い方(トロミパワースマイル使用)

とろみがつきにくいときの対処法はこちら



ダマができないようにとろみをつけるコツ


  • スプーンを左右に往復させ、とろみ調整食品を散らすようにかき混ぜる。

  • 乾いたコップに先にとろみ調整食品を入れておき、後から飲み物を勢いよく注ぐ。

  • スプーンの代わりに小型の泡立て器やフォークを使って混ぜる。

いずれの場合も、しっかりとろみがつくまで30秒は混ぜてください。




使用する前に専門家に相談を

食べる方によって適切なとろみの強さが異なります。また、とろみを強くつけすぎたものを食べると、のどに詰まる恐れがありますので、専門の医師・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士等に相談の上、適切にご使用ください。
とろみ調整食品を使用することで、飲み込んだ飲食物が誤って気管に入り込むこと(誤嚥)を確実に防げるものではありません。

【お取り扱い状の注意】
粉のまま絶対に食べないでください。のどに詰まる恐れがあります。介護や介助の必要な方やお子様の手の届かないところに保管してください。


小冊子『初めてとろみをつける方に』
日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長 菊谷武先生監修により、
初めてとろみをつける方に、とろみ調整食品の使い方のコツをわかりやすくご紹介しています。
(画像をクリックするとPDFが開きます。)




適したとろみのつけ方


とろみの強さは調整できる

とろみ調整食品の使用量によって、とろみの強さを調整できます。

商品によって使用量・使用方法等が異なりますので、詳細は個別のパンフレット、詳細パッケージなどをご確認の上、ご使用ください。



強すぎるとろみには要注意!

(藤田保健衛生大学 客員教授 小島 千枝子先生にお聞きしました)
どのくらいの強さのとろみが適しているかは、その方の飲み込む能力によるため、とんかつソースくらいのどろっとしたとろみが良い場合もあれば、ポタージュスープ程度のサラッとしたとろみが良い場合もあり、その方に適したとろみの強さに調整することが大切です。
とろみ調整食品で飲み物をジャムのようなかたさにすると、べたつきが強くなり、口やのどに貼り付きやすいため、かえって飲み込みにくくなります。のどに残留しやすく、場合によっては窒息につながる危険性もあるので、強すぎるとろみは避けなければなりません。いつもつけているとろみが強すぎないか、是非一度見直してみてください。



適切なとろみをつけるポイント

1.コップやスプーンはいつも同じものを使う
2.とろみ調整食品は毎回すりきりで量る

同じスプーン1杯でも、すりきりと大盛りでは
すくえる量が大きく変わります。





とろみがつきにくいときの対処法


すぐにつかないと量が足りないのかなと思って必要以上にとろみ調整食品を加えてしまい、強いとろみになってしまう…というお声をよく伺います。

Q. とろみがすぐにつかないのですが何か原因はありますか。

A. 混ぜる時間が短い可能性があります。
30秒くらいは混ぜましょう。特に、冷たい飲み物の場合は長めに。
また、飲み物の種類や温度によってとろみがつくのが遅い場合があります。



Q. とろみがつきにくい飲み物にうまくとろみをつける方法はありますか。

A. 「二度混ぜ法」をおすすめします。
二度混ぜ法は、しっかりとろみがつき、一旦ついたとろみの強さも安定しています。
とろみ調整食品の使用量は水・お茶の場合と同じか、やや増やす程度でOKです。


  • とろみ調整食品を入れ30秒以上混ぜる

  • 2〜15分置く
    (水を吸わせるための時間です)

  • 再度30〜60秒混ぜる

※1 牛乳・濃厚流動食品には専用のとろみ調整食品もあります(こちら
※2 濃厚流動食品の種類によっては、30分程度置いた方が良い場合があります。

【動画】とろみがつきにくい飲み物へのとろみのつけ方(トロミパワースマイル使用)



国立研究開発法人
国立国際医療研究センター病院
リハビリテーション科医長
藤谷 順子先生

濃厚流動食品の半固形化・固形化について

胃ろう栄養の際は、胃食道逆流の予防、消化管通過と吸収の調整、注入時の時間短縮などを目的として半固形化します。経鼻の細い管用の商品もあります。口から食べる場合には、
液体栄養剤を誤嚥予防や目先の変化のためにムースやババロア状に固形化することがあります。
半固形化補助食品(濃厚流動食用)一覧




食事の姿勢

「飲み込みやすい食事」を摂るためには、調理形態の工夫とともに、姿勢の調整も大切です!

いすでの食事(座位)



ベッドでの食事(リクライニング位)

※上記は一例です。「食べやすい姿勢」には個人差がありますので、ご本人様に応じて調整ください。






参考:『写真とイラストですぐわかる!安全・やさしい介護術』橋本正明監修(西束社)、
『NSTで使える栄蓑アセスメント&ケア』足立香代子・小山広人編(学習研究社)、
『介護のための摂食・礫下障害の理解とケア』小澤公人編著(ナツメ社)、
『改訂版 図解かみにくい、 飲み込みにくい人の食事』藤谷順子・江頭文江監修(主婦と生活社)






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